「Tフィラリア(犬糸状虫)」の知識


フィラリアとはどんな虫か?
そして、飼い主さんが知っておくべきフィラリア症について

フィラリアの生活環
幼虫の成長と感染経路



「Uフィラリア予防」の知識

<フィラリア予防薬業界の背景>飼い主さんが「風説」の被害者にならないように・・

<なぜ処方薬なのか?>
高い予防薬を動物病院だでしか買えない不思議な仕組み

<投与前検査とは何か?>
日本でだけ義務づけられている『全頭』投与前検査

<フィラリア予防薬の危険性>
日本だけ、なぜ「危険」なのか?

通年投与の提案>
個人輸入の普及で可能になったより完璧な予防薬の使用法

<フィラリア成虫の寄生が予想される犬への予防薬の与え方



V個人輸入の知識

個人輸入の利用方法

通関時の規制の説明

個人輸入の可能性と期待




W参考資料一覧

このサイトの情報源リスト



Yおまけ

全国動物病院でのフィラリア予防薬価格一覧表

トンデモサイト

フィラリア・トンデモサイトの一例





Zフィラリア予防の普及
3頭に2頭は予防をしてもらえていないという現実



[今後の掲載予定ページ

蚊について
猫のフィラリアについて
腸管寄生虫の知識



FILARIA TRIVIA(準備中)

ウォルバキア
フレンチ・ハートウォーム
フィラリアの人感染
海外のフィラリア事情





アメリカフィラリア協会





World Small Animal
VeterinaryAssociation









動物病院では教えてくれない
狂犬病予防の知識



POLAR BEARS INT'L
V フィラリア予防薬の個人輸入 個人輸入の紹介

個人輸入とはなにか?
日本語のHPから海外の価格とさほど変わらずに購入できる個人輸入は多くの飼い主さんに歓迎されています。それまで動物病院の独占価格で購入するしかなかった日本の飼い主さんが、自分で自分の飼い犬に予防をしてあげられるようになってきたのです。
予防薬ですから納品までに多少時間がかかってもハンディはありません。同じ製品が国内価格の半分以下(ジェネリックなら数分の1)で買えるのですから、動物病院価格が変わらない限り、今後も個人輸入をする人は増え続けるでしょう。
近所に動物病院のない飼い主さんにとっても、犬を病院に連れて行かなくても通信販売で購入できる個人輸入が歓迎されるのも無理はありません。

このページでは普及しつつある個人輸入について説明をいたします。
個人輸入が普及する一方で、国内のサイトやブログで見る限り「フィラリア予防薬は検査をしないで使うと危険だ!」の大合唱です。
しかし、そのようなサイトでは「日本で販売されているのと同じフィラリア予防薬が 多くの国では家庭薬(一般薬)であり動物病院でなくても薬局やネットで購入でき事前検査なしで広く使われているがそのことで安全上の問題は発生していないこと、 海外の同一製品価格は日本の数分の1に過ぎないこと(日本の価格は海外の数倍もすること)に触れていることはまったくと言っていいほどありません。
そんなことを知らない動物病院はないのですから、これは意図的な情報操作です。

業界の立場から言えば、飼い主さん自身が海外から直接買い付けることは自分達の既得権を侵されることですから歓迎出来るわけがありません。建前は「フィラリア予防薬は動物病院で買わないと危険だ」ということであっても、本音は「飼い主さんに業界のからくりが分かってしまっては困る」ということですから、寅さんのせりふと同じで、「それを言っちゃ〜おしまいよ」ということです。
個人輸入が普及しつつあるとはいえ、業界の利益を代弁する情報発信が溢れているサイトに洗脳されずに自分の頭で判断できる飼い主さん以外にはまだまだ敷居が高いのが「個人輸入」と言えるでしょう。

具体的な説明は他のページ(日本だけ、なぜ「危険なのか?」に譲りますが、もし本当に業界に洗脳された素人ブログが言うように「投与前検査をしないで予防薬投与をするのが危険」であれば、海外の飼い主さんは常に危険を冒していることになります。
薬局やスーパー、通信販売で購入できるフィラリア予防薬を買って、それとは別に動物病院で血を抜いて検査してもらう必要のあるわけがありません。別に脱法行為をしているのではなく、事前検査なしでの販売が承認されているのです。

一方で、個人輸入を実際にするにあたっては、その必要性に首を傾げざるを得ない実にさまざまな法的規制があります。それが業界の意を受けたかどうかはともかく、規制内容についても一通り理解してから個人輸入をされた方がいいと思います。
規制内容の説明は文章が長くなるので別のページにまとめました。
フィラリア予防薬などの個人輸入規制



フィラリア予防薬の個人輸入方法とアドバイス
どこから輸入するか
何を輸入するか
《どこから輸入するか?》
犬の飼い主さんが個人輸入を利用するとすれば、その方が価格が安い(本当は安いのではなく日本の動物病院が高過ぎるだけ)からか、近所に動物病院がないのが主な理由だと思われますが、まず価格面で申し上げると、英語サイトでオーダーすれば、一般的には日本語サイトよりさらに安く購入することも出来ます。
しかし、この方法は英語に堪能な方であってもあまりお奨めできません。
配送された商品が日本の税関で保留されることもあるので、英語サイトの中には日本向けには受注しないところもありますし、もし保留された時も購入側の全責任になります。日本語で販売しているサイトでは、その辺を心得ていて、税関での保留や商品の未着などには、返金や再発送で対応しているところが多く、日本語サイトで購入した方が無難です。

各業者のホームページで輸出国を見ると、米国、オーストラリア、ニュージーランドなど英語圏だけでなく、アメリカ製のブランド製品が韓国、中国、香港、台湾、タイ、シンガポール、ベトナム、フィリピンなど多岐に渉る国を経由して日本向けに販売されています。日本の動物病院価格がある限り、どこの国から輸出しても原価的には引き合ってしまうということでしょう。
輸出製品は日本でも販売されているのと同一の先発品が多く、続いてオーストラリア、インド、中国、韓国などで販売されているジェネリック製品が多いようです。

《何を輸入するか?》
一口に「フィラリアの予防薬」といっても、多くの製剤成分(イベルメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシン・オキシム、セラメクチンなど)があります。それに加えて、先発のブランド製品と後発のジェネリック製品があります。セラメクチン以外は特許期間が過ぎているので実に多種類のジェネリックがあります。
また、製品の形状もオーソドックスな錠剤から、犬が喜んで食べるように牛肉を使ったチュアブル、皮膚に滴下して浸透させるスポットオンタイプがあり、それぞれに一長一短がありますが、一番経済的なのは錠剤タイプです。(直接口に入れることを嫌がる犬でも、犬が喜ぶ食べ物に混ぜてあげればチュアブルと同じことです。)
海外通販は郵送コストがかかりますから、「送料無料」と書いてあるサイトでも商品価格には反映されています。フィラリア予防薬は小さく軽いものですから、注文数量によって送料が大きく変わることはありません。送料別立てのサイトで2年分を購入すれば、その分安く購入できます。
動物病院が近所にないなどで個人輸入を利用するときに不便なことは、製品が1箱6錠6ヶ月分単位で販売されていることです。通年投与する場合にはそれでもよいのですが、7ヶ月8ヶ月投与の必要な地域に住んでいる飼い主さんは2箱を購入し、翌年に繰り越さなければならないことになります。そんな時にも、保存期間の長い錠剤タイプが便利です。
チュアブルは錠剤に比べて若干高いですが、今までチュアブルに慣れている飼い主さんはどちらでもいいでしょう。
ただし、個人的体験としてチュアブルの韓国製ジェネリックはお奨めできません。先発品のハートガード・プラス(動物病院ではカルドメックPの名前で販売されています。)に比べて効果は同じでも、粒が固すぎるなど明らかに品質(使い勝手)が落ちます。ジェネリック大国のインドではチュアブルを作っていません。これは牛肉を食べることが宗教的禁忌だからだと思われます。滴下剤のフィラリア予防薬は、ノミの駆除も同じに出来る出来るという点では便利ですが、価格が高いことと、ノミは駆除できてもダニの駆除が出来ないという泣き所があります。


《個人輸入をする時の注意》
ところで、海外からの個人輸入をする時には、気をつけなければならないことがあります。
それは、今お世話になっている動物病院からは嫌われる、ということです。
動物病院にとっては、先生様の言うことは何でも素直に信じ込む客がいい客であって、ネットで調べた知識を振り回されるのはいい迷惑ですが、特にフィラリア予防薬は動物病院にとってドル箱だという事情があります。
今まで述べてきたように、、日本のフィラリア予防薬市場は400万頭分あると推定されています。フィラリア予防薬に飼い主さんが払う費用は病院によって差がありますが、診察料や事前検査料など周辺まで加えると、年に¥10,000近くかかる病院も珍しくはありません。
それに対して、動物病院の原価(フィラリア予防薬を卸業者から仕入れる費用)はイベルメクチン単体でジェネリックであれば1錠\60に過ぎませんから、もしそれを@\1000で販売すれば病院の粗利益は90%もあることになります。
そんな中で、飼い主さんが「フィラリア予防薬は個人輸入したから今年は要りません。この子の毛が抜けるので診てくれませんか?」といったらどうなるでしょうか?
病院によっては、「お上のフィラリア予防薬鎖国方針に逆らって抜け荷をする不届き者」と思うかもしれないし、「抜け荷」はともかく居酒屋でおつまみだけ頼んでお酒を頼まない客くらいの感じは持つかもしれません。 (もしそうであっても、動物病院が診察を拒否することはあり得ません。獣医師法で診察を拒否することは禁止されています。)
フィラリア以外の病気の予防や治療には、どうしても動物病院の世話にならざるを得ないのですから、飼い主さんにとって親切で腕の確かな動物病院を確保しておくことは大切です。
飼い主さんが費用を考えて個人輸入をしても消費者の権利です。それで腹を立てるような病院は利益本位の経営方針でしょうから、むしろこちらから敬遠して他の病院を探しておいた方が無難です。

《誰もが気軽に買えるものではありません》
このサイトをご覧の方はパソコンに向っているから問題ないでしょうが、 ネットを使えない高齢の方などは個人輸入から締め出されてしまっています。
フィラリア予防について価格問題よりずっと深刻だと言えるのは、実際には近所に動物病院がなかったり、車がなくて犬を診察に連れて行けないなどフィラリア予防薬を欲しくても購入できない飼い主さんが少なからずいるということです。
他のところで述べているように、フィラリア予防薬は日本だけ動物病院でしか購入できないように処方薬に指定されていますが、なまじ処方薬になってしまったために、動物病院であっても診察なしに処方薬を販売できないという縛りがあります。
一方で、個人輸入は必ず使用者本人が輸入しなければなりません。
田舎の両親が飼育している犬の予防薬を代わりに買ってあげて送ってあげるのは、犯罪性のあるなしに関わらず形式的には違法行為になってしまいます。




個人輸入の積極的な利用法
海外からの購入はどうしてもコストに目がいきがちですが、実は、個人輸入には飼い主さんがあまり気づかれていない個人輸入だからこそ出来る大きなメリットがあります。
個人輸入では自己の判断と責任で投与をしなければなりませんが、それを前向きに捉えれば、自分で投与方法を工夫できる余地があるということです。
<1錠を半分に切って2ヵ月分使う>
ネットで成分含有量まで説明しているサイトをご覧になると分かりますが、例えばハートガードプラス・チュワブルというフィラリア予防薬の定番製品があります。
ほとんどのフィラリア予防薬のジェネリックは、このハートガードプラス(錠剤もチュワブルも有効成分の含有量は同じ)に準じていますから、この製品を例にとると有効成分のイベルメクチンの含有量は下記のとおりになっています

体重 イベルメクチン含有量 ピランテル含有量
〜11kg 68μg 57r
11-22kg 136μg 114r
22-45kg 272μg 227r

すぐにお気づきのことかと思いますが、犬の小中大の体重区分は1:2:4で 分けられており、成分量もそれに比例しています。
小型犬用(〜11kg)に対するイベルメクチン投与量は68μgになっており、中型犬(11-22kg)への投与量はその倍の136μg、大型犬(22-45kg)では272μgです。
イベルメクチンは体重1kgあたり6μgの投与で100%の効果があるとされていますから、小型犬用〜11kgは最大11kgの犬でも必要量が与えられるようになっています。
しかし、体重が5kgしかない超小型犬は体重1kgあたり13μg以上を与えてしまいますし、そのことは体重が11kgをちょっと超えた中型犬に指示通りに中型犬用を使っても、やはり必要量の倍以上を与えてしまうことになります。
たいていの動物向け処方薬は体重1kgグラムあたり○○rというように投与量が決められます。
フィラリア予防薬が体重あたりの投与量の差が2倍もありながら、日本の動物病院でもSMLのサイズで販売されていること自体、フィラリア予防薬の安全性を示す傍証であるともいえますが、体重11kg以下の犬には22kgまでの中型犬用を購入して二つに割って与えても効果は同じです。(体重5.5kg以下の超小型犬であれば小型犬用半分でもo.k.です)
動物病院では決してこんなことはやりませんが、個人輸入なら自己責任が原則ですから、飼い主さんの判断と責任で行うことが出来、そのことで
予防費用を半分にすることができます。
チュワブルの場合には、半分与えた残りを一ヶ月冷蔵庫に入れておくと硬くなってしまい(成分が変化するわけではありませんが)消化されない可能性があります。
しかし、二頭を飼育されている方ならその場で二つに分けて投与することができます。
錠剤なら二つに割った残りの半分を翌月までラップに包み遮光保存しておけます。(イベルメクチンは光が当たると劣化するといわれていますが、遮光保存しておけばどうということはありません。)
錠剤は厳密に半分に切れないかもしれませんが、
体重1kgあたり最低6μgあれば予防薬として完璧に通用します。
フィラリア予防薬のジェネリックは1錠あたり\300程度で買うことが出来ますから、二分割で与えればコストは月当たり150円そこそこです。
他のところで述べているように、通年投与が一番の予防法だとすれば、一シーズンの予算で通年投与できるこの方法は意外とお奨めだろうと思います。


感染が疑われる犬への投与方法
何かの事情で前年にフィラリア予防をしていない場合、その犬はフィラリア感染犬として扱う必要があります。
動物病院で行うフィラリア寄生検査は、過去6ヶ月以内の感染を把握できませんから、信頼度に欠けます。(詳しくは<投与前検査とは何か?>を参照してください)

前年に予防をしていなかったからといって必ず感染していると言えないことは当然ですが、陰性を陽性と勘違いしても実害はありません。怖いのは陽性を陰性と判断して何もしないことです。
投与前に必ずフィラリア寄生検査をしなければならない、というのは日本だけでしか通用しない規制です。
必要とするのは成虫駆除剤(予防薬ではない)を注射しなければならない場合です。この場合はフィラリア陽性であることは分かっているのですが、成虫駆除剤の場合には普段はまったく無害な血中のフィラリア幼虫(L1)も一緒に殺してしまうことになります。そのために生じる重篤な副作用を避けるためにあらかじめ感染の重症度を調べる必要があるからです。
また、イベルメクチンは疥癬の特効薬で人間の疥癬治療にも使われますが、投薬量は通常体重10sあたり3mg
(犬の場合は体重1sあたり0.3mg)です。これは
フィラリア予防薬としての投与量の50倍にあたります。この場合にも投与前の検査が必要です。

以上のような場合を除き、もし成虫とミクロフィラリアがいてもその副作用は軽微です。(既感染犬への投与方法)
モキシデクチン系の予防薬はそもそもミクロフィラリアに影響を与えませんし、広く使われているイベルメクチンも、規定の投与量であればミクロフィラリアの除去能力は緩慢であり、いつ急性症状である大静脈症候群を引き起こしてもおかしくはない重感染犬でないかぎり、予防薬投与が原因とされることはないとされていますが、その他の軽微な一過性の副作用は起こりうるとの注意も書かれています。
国内で販売されているカルドメックP(同一製品の海外名:ハートガード・プラス)の使用説明書を読むと、「フィラリア成虫のいる犬に与えると急性犬糸状虫症候群(大静脈症候群=急性のフィラリア症状で放置すればまず100%死亡する)を引き起こす可能性があるので、投与前に必ず検査をするように」という趣旨の注意書きがあります。
また、ジェネリック製品であるハートメクチンでは「因果関係は明らかではないが、急性犬糸状虫症候群が現れるとの報告があります」と書かれています。
ハートメクチン
これらの記述は日本版にはあっても英語版にはみられません。日本ではなぜ処方薬なのか?)

個人輸入の利用者であれば、自己責任で予防薬の投与分量を決められるのですから、動物病院の機械的なSML投薬よりも更に安全な方法を選択することができます。
つまり、今まで何度も触れたように
予防をしていなくて初めて予防薬を与えるような場合、すでに感染をしているものとしているものとして扱ことが出来るからです。
この場合、陽性と思った犬が陰性であっても一向に差し支えないわけであって、検出率に疑問のある病院での検査よりずっと信頼が置けます。 少なくとも、陽性を陰性と判断することはありません。

具体的には、当初はごく少量を与え、その後段階的に規定投薬量にまで増やしていきます。
イベルメクチンを例にとれば、蚊から移されたフィラリア幼虫を100%駆除するための最低投与量は犬の体重1kgに対して6μg/kgですが、2μg/kgでもその80%を駆除することが出来ます。(ハートガードのアメリカでの承認時資料による)
当初の投与量は感染の深刻度にもよるので一概には決定できませんが、大体このくらいの量、2μg/kgが一つの目安だろうと思われます。
イベルメクチンの副作用には、他の医薬品と同じように、フィラリア感染の有無に関係なくアレルギー症状を示す少数の犬がいるとされていますが、この投与量であればアレルギーチェックにもなります。
最初の投与で異常がなかったら、数日後に量を少し増やして例えば4μg/kgにして、もう一度投与します。
イベルメクチンが体内に残留する期間は短く、犬に比べると体重当たりで数十倍の大容量を豚に経口投与する場合でも、一週間後には屠殺して出荷することが認められています。
犬の場合には腸が短いですから、もっとずっと早く排泄されるはずですし、大容量を与えた場合での副作用例も24時間以内に発生しています。
したがって、たとえば一週間後の投与であれば、体内の残留成分と新しく投与する分が累積されることはありません。
犬に感染後50日以内のフィラリアの幼虫はイベルメクチンで駆除できますから、当初の投与量が少なくても50日以内の最終回投与で規定量を与えれば予防が間に合わない心配はありません。
2μg/kgの投与量は、体重10kgの犬に与える場合であれば小型犬用薬剤の3分の1、体重が5kgであれば6分の1になります。
この方法はフィラリア成虫が沢山寄生している犬に「成虫駆除薬」を注射する前に、(成虫駆除薬はミクロフィラリアも急激に殺してしまうので)ミクロフィラリアの数を徐々に減らしておくために動物病院でよく行われる方法です。

薬を投与した後の経過を観察することは必要ですが、そこで発現した異常と思われる症状が予防薬投与によるものか、他の理由によるものかは冷静に判断する必要があります。犬の呼吸がいつもより荒い感じがするといってもただ犬が暑く感じていただけかもしれません。

10%未満の犬に生じるとされる副作用は、よだれ、ふらつき、食欲不振、無気力などですが、副作用が生じても軽微で一過性だと説明されていますから、あまり神経質にならなくても大丈夫でしょう。
これらの副作用は犬のフィラリア感染の有無に関係なく、つまりミクロフィラリアに関係なく生じます。
実際に一般家庭で飼育されている数百頭のフィラリア陽性の犬達を対象に米国で行われたフィールドテストでは深刻な副作用は報告されていません。

FDA(米国医薬食品局)公開資料

ただ、飼い主さんとして理解しておかなければならないことは、フィラリア成虫が多数寄生している犬では、予防薬の投与とは因果関係がなくても、いつ急性症状が現れてもおかしくないということです。
フィラリアの急性症状とは一般的にケイバルシンドロームを指し、これは多数の成虫が肺動脈から右心室、三尖弁を経て右心房、さらに後大静脈に移動することによって起こりますが、βブロッカーを与えられて心臓の働きを低下させた犬に起こりやすいことから、肺動脈の血圧や血流量がその移動のきっかけに大きく関与しているとされています。
(肺動脈は心室より上に位置しており、成虫が心臓に移るためには「落下」する必要があります。普段は血流が保たれて成虫が落ちるのを防いでいるのでこのようなことは起きづらいそうです。)
他にも、多数いる成虫の一部が自然死することが肺血栓を引き起こすことで、移動のきっかけの一つになるのではないか、とも言われています。 また、多数の成虫が絡まった状態で肺動脈にいれば成虫自身が血流を阻害する理由になり得ることも指摘されています。
成虫が肺動脈から右心室に移る多くの原因の一つとしてフィラリア予防薬の投与もあるのではないかと疑われていますが、なぜフィラリア予防薬が成虫の移動を引き起こすのか因果関係ははっきりしていません。
一方で、ミクロフィラリアを一時に大量に死滅させるほどの予防薬量を投与したときにはミクロフィラリアの死骸が成虫の移動に何らかの影響を与える可能性が指摘されています。
また、イベルメクチンの継続投与が♀成虫を不妊化したり、成虫の寿命を縮めることが出来るということは、イベルメクチンが成虫を殺すことはなくてもその生理に何らかの影響を及ぼしているということですから、因果関係が分からないからと言って関与がないとは断言できません。
話がやや混み入りましたが、飼主さんに理解していただきたいことは「多数の成虫を抱える犬へのフィラリア予防薬投与では、それがどんなに微量でも、たまたま他の原因とのタイミングが一致してその犬が死亡するリスクはゼロではない」ということです。
いずれにしても、フィラリア予防薬を与えられていない犬の多くが大静脈症候群を示して死亡する(フィラリアで死亡する犬の20%)ことからも明らかであって、一部のサイトのいうようにフィラリア予防薬を投与前検査なしで投与することによって起きる可能性は大きくないといえます。

<参考サイト ミクロフィラリアの駆除治療>
メルク獣医学マニュアル
Microfilaricide Treatment:

http://www.merckvetmanual.com/mvm/index.jsp?cfile=htm/bc/11300.htm

At specific preventive dosages, the macrolide preventative drugs are effective microfilaricides, although not approved by the FDA for this purpose.
Adverse reactions may occur in dogs with high microfilarial counts (>40,000/μL), depending on the type of macrolide given. However, the microfilarial count is usually lower, and mild adverse reactions occur in ~10% of dogs. Most adverse reactions are limited to brief salivation and defecation, occurring within hours and lasting up to several hours.
Dogs, especially small dogs (<10 kg), with high microfilarial counts (>40,000/μL) may develop tachycardia, tachypnea, pale mucous membranes, lethargy, retching, diarrhea, and even shock.

Treatment includes IV balanced electrolyte solution and a soluble corticosteroid. Recovery is usually rapid when treatment is administered quickly. Microfilarial counts are not routinely performed, and thus severe reactions are seldom expected.

FDA(米国医薬食品局)はミクロフィラリアの除去を使用目的とすることは承認していませんが、マクロライド系予防薬を規定の予防量レベルで与えることはミクロフィラリアの駆除に有効です。
しかし、1μL(1,000分の1C.C.)に40,000以上の多数のミクロフィラリアが存在するような犬では投与されるマクロライド剤のタイプによってはadverse reactions(予期しない、または危険な副作用)がみられるかもしれません。
しかしながら、ミクロフィラリア数は普通もっと少ないです。感染している10%以下の犬にマイルドな副作用が生じます。 副作用のほとんどは一過性の涎(よだれ)や下痢であり、投与後間もなく起きて数時間継続します。
40,000/μL以上のミクロフィラリアのいる、特に体重10kg以下の小型犬は 以下の症状を示すかもしれません。
心悸(しんき)高進、頻脈 チアノーゼ 虚脱状態、吐き気、下痢、更にはショック(何らかの原因によって血圧の低下をきたし、身体が生きていくために必要な血液循環が保てない状態をいう。早急に適切な治療がなされない場合はそのあとに呼吸停止→心停止となることもある)を引き起こす可能性があります。
治療には平衡電解液(リンゲルなど)と水溶性副腎皮質ホルモン(水溶性プレドニゾロン)の静脈注射が含まれます。治療が手早く行われれば通常急速に回復します。
過剰数のミクロフィラリアによる発症は決まって起きるものではなく、深刻な副作用も滅多に懸念されません。


Treatment specifically targeting circulating microfilariae may be started as early as 3-4 wk following adulticide administration.
More commonly, microfilariae are eventually eliminated, even from non-adulticide-treated dogs, after several months of treatment with prophylactic doses of the macrocyclic lactones.
No drugs are currently approved as microfilaricides by the FDA.
However, licensed veterinarians are permitted extra-label use of certain drugs if a valid veterinarian-client-patient relationship exists.
The use of monthly administered HW chemoprophylactics as microfilaricides is governed by this regulation.
Livestock preparations of these drugs should not be used to achieve higher doses for the purpose of obtaining more rapid results.
The macrolide of choice for killing microfilariae quickly is milbemycin (0.5 mg/kg, PO, 1 dose).
Performance of a microfilariae test is recommended at the time the antigen test is performed (6 mo after the adulticide treatment).
The macrolide of choice for killing microfilariae quickly is milbemycin (0.5 mg/kg, PO, 1 dose).
Performance of a microfilariae test is recommended at the time the antigen test is performed (6 mo after the adulticide treatment).

血中を循環しているミクロフィラリア駆除だけを目的とした治療は成虫駆除治療後、早くも3〜4週間後から開始されるかもしれません。
しかし、さらに一般的には、ミクロフィラリアは予防薬レベルのマクロライドを数ヶ月間投与することで、成虫駆除治療を受けていない陽性犬からも除去されます。
今のところ、FDA(米国医薬食品局)はいかなる医薬品もミクロフィラリア駆除薬としては承認していません。
しかしながら、獣医師は患者の同意を得てある種の医薬品について承認内容を超えて使用することが認められています。
迅速な駆除結果を得るために、畜産動物用に作られたマクロライド医薬品を大量に使用することは推奨されません。
ミクロフィラリアを迅速に駆除するのに選択されるマクロライドはミルベマイシンです。(一回に体重1kgあたり0.5mgの経口投与)
成虫駆除治療後、6ヶ月経過して抗原検査を行う時に、ミクロフィラリアの確認検査を同時に行うことが推奨されています。
毎月の投薬するタイプのフィラリア化学予防薬をミクロフィラリア駆除目的に使用することはこの規制により認められています。
マクロサイクリック・ラクトーン(マクライド系予防薬)は今ある中ではこの目的に最も効果的で安全です。
http://www.merckvetmanual.com/mvm/index.jsp?cfile=htm/bc/191511.htm

Developing Larvae: Ivermectin/pyrantel pamoate, administered monthly for 1 yr to dogs with larvae that are no more than 4 mo post-L3 inoculation, prevents the development of infection.
Continuous monthly administration of prophylactic doses of ivermectin, alone or in combination with pyrantel pamoate, is also highly effective against late precardiac larvae and young (<7 mo postinfection) quasi-adult HW.
Comparable capability of the other macrocylic lactones has not been reported.
This extended protection is important in dogs of unknown medical history that may have acquired HW infections because of lack of preventive drug administration or lack of compliance.

成長幼虫:
予防投与量レベルのイベルメクチン単独あるいはパモ酸ピランテルとの組合せで継続的に一年間、月次投与することはL3感染後4ヶ月以内の幼虫に対して、非常に効果的です。
また、 この組合せ、またはイベルメクチン単独による継続投与は未だ心臓に達していない幼虫と(すでに心臓や肺動脈に達した)感染後7ヶ月以内の未成熟成虫(未だ生殖能力のない成虫)に対しても非常に有効です。
イベルメクチンと比較できる他のマクロライド系予防薬の能力については報告がありません。
この防御期間の延長効果は、予防されていなかったり、適切な予防をされていなかったせいでフィラリア感染をしてしまったかもしれない医療履歴のない犬にとって重要です。



ワンサイズ大きなものを個人輸入して、2回に分けて使用するやり方はフィラリア予防薬でけでなく、ノミダニ駆除薬であるフロントラインについてもいえます。 この製品も有効成分の含有量がSML順に1:2:4に配合されており、まさしく「大は小を兼ねる」形になっていますから、大型犬用1本で中型犬なら2本分、小型犬なら4本分に相当します。
は製品の性格上揮発成分に有効成分を溶かしているので取り置きがききません。)
滴下した後の蒸発スピードが速いのは使い勝手としてはありがたいですが、容器を一旦開けると元に戻せない奇妙な設計になっていて使い残りがすぐに蒸発してしまうのは、飼い主さんが1本を2回に使うことを防ぐためもあるのではないか、と思ってしまいます。
容器の形も目分量では半分ずつにしづらい設計になっています。
しかし、このことは非難されることではないかもしれません。成分のフィプロニルはイベルメクチンと違い、子供が誤って飲んでしまったり、成分に触れた手で目をこすったりしてしまうと害になるだけの量があり、開封段階で保存するのは好ましくないからです。
もちろん、2頭の中型犬を飼育されている人が同時に大1本を2頭に分けてつけてあげることは可能ですが、犬同士が舐めあったりしないように注意が必要です。


このページでは、フィラリア予防薬の個人輸入について説明しましたが、個人輸入することはいいことばかりではありません。
飼い主さんのメリットは他の業界のデメリットにもなります。
そして、日本の行政が消費者よりも業界に甘いといわれている現実もあります。
次のページでは「動物薬の個人輸入規制」の内容を説明します。


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