「Tフィラリア(犬糸状虫)」の知識

フィラリアとはどんな虫か?
飼い主さんが知っておくべきフィラリア症について

フィラリアの生活環
幼虫の成長と感染経路



「Uフィラリア予防」の知識

フィラリア予防薬業界の背景
飼い主さんが「風説」の被害者にならないように・・ 

なぜ処方薬なのか?
高い予防薬を動物病院でしか買えない不思議な仕組み 

投与前検査とは何か?

日本でだけ義務づけられている『全頭』投与前検査

フィラリア予防薬の危険性
日本だけ、なぜ「危険」なのか?

通年投与の提案
個人輸入の普及で可能になったより完璧な予防薬の使用法 

フィラリア成虫の寄生が予想される犬への予防薬の与え方



V個人輸入の知識

個人輸入の利用方法 

通関時の規制の説明

個人輸入の可能性と期待



W参考資料一覧

このサイトの情報源リスト



Yおまけ

全国動物病院でのフィラリア予防薬価格一覧表
U フィラリア予防薬の知識 投与前の成虫検査(事前検査)について

事前検査をする国としない国

フィラリアの予防薬は、投与する前に獣医師が検査をして与えないと副作用が生じ、犬の命にかかわるという説明が動物病院のホームページや、それを受け売りした個人のサイトにも時々見受けられます。
フィラリア予防薬は副作用の危険があるから「要指示薬(処方薬)に指定されており、獣医師が成虫の事前検査と診断を行ってから投与するように決められている。」・・・
専門家である動物病院がそう言うのですから、飼い主さんも普通には「フィラリア予防薬は素人が使うと危険な薬だから要指示薬に指定されているのだろう」と疑わないでしょうが、この要指示薬への指定自体が業界の都合で定められたものである、つまり「裏がある」と言って差し支えありません。そう思う理由は別のページで述べます。
アンフェアプライス


今まで調べた限り、海外の主な国々でフィラリア予防薬が要指示薬に指定されているのは日本と米国・カナダ、それとスペインだけであり、他の国々(オーストラリア、ニュージーランド、フランス、イタリー、中国、韓国、台湾、東南アジア各国)では飼い主さんが薬局やネットで自由に購入できる家庭薬(一般薬)です。(英国でも処方薬のようですが、この国はフィラリア清浄国です。)
また、要指示薬に指定されている米国やカナダでも、飼い主さんは動物病院で処方を受けて国内の薬局などからネット購入することが出来ます。

フィラリア予防薬がそんなに危険なものであれば、なぜ海外では一般薬(家庭薬)として動物病院だけでなく、薬局やスーパーやネットで販売されているのでしょうか?

海外では、日本製品と成分、服用量がまったく同じであるだけではなく、メーカーまでが同一の製品が検査を省略して使われていますが、発売以来20年以上経過して格段の不都合は生じていません。
日本ではカルドメックと呼ばれるハートガードは今まで世界中で20億粒以上が販売されています。そして、日本を除けばそのほとんどが家庭薬として使われています。
もちろん、こんな事情はどの動物病院でも知っていることですが、動物病院のHPで触れられていることはありません。
(以上のような事情や価格のことには触れず、海外からの個人輸入が危険だ、と書かれている業界団体のホームページはあります。)
 日本小動物獣医師会

要指示薬に指定されている国でも、日本のように販売できるのが実質上動物病院に限られていなければ、価格に競争原理が働きますから、米国やカナダでは、飼い主さんが動物病院で購入する価格もネットに比べて極端に高いことはありません。ネット販売の実例は検索すればいくらでも見つかりますが、とりあえずアメリカとオーストラリアからピックアップしてみました。
メリアル社のハートガードプラス・チュワブル(日本のカルドメックPチュワブル)の中型犬用は42ドル(米国内送料込み)です。
この通販会社ではネットで処方箋を取り寄せる代行サービスを行っています。もちろん、事前検査は行いません。
アメリカのネット販売サイト
オーストラリアのネット販売サイト処方箋なしで購入できます。
海外では家庭薬なので、店頭陳列用のパッケージで販売されています。

日本語で輸入できるサイトもあります。ちなみに、このサイトでの価格は6錠入り小型犬用\1,900、中型犬用\2,200、大型犬用\2,400(プラス送料:何箱でも一律\1,000)で、製品価格だけなら米国内価格と変わりません。
日本価格とそんなに違うなんて信じられない、という方はこちらで確認できます。


フィラリア予防薬の安全性や事前検査の必要性については水掛け論になりがちなので、詳しい話は後で触れるとして、まず確実に言えることは「事前検査をしないと危険だ」という主張は「だから、フィラリア予防薬の価格が法外な既得権益価格でいいということにはならない」ということです。

人間の処方薬(要指示薬)には保険請求金額のベースになる薬価基準がありますから、飼い主さんも動物用医薬品でもフィラリア予防薬のような処方薬には何かしらの基準があるだろうと思うでしょうが、実はそんなものはありません。
動物病院は、ヒト用医薬品であれば調剤薬局が担当している動物薬の販売をも独占していることで、自分で売価を設定できる仕組みになっています。
しかも、フィラリア予防薬は日本の犬と飼主さんにとって必需品です。
高いのが厭なら買わなければいい、(ある獣医師の言葉)というものではありません。


事前検査をしないとそんなに危険なのか?
このページの冒頭ですでに述べたように、日本の動物病院では投与前にフィラリア成虫の感染の有無を確認してからでないとフィラリア予防薬を投与してはいけないことになっていますが、たいていの国では成分、服用量が同じなだけではなく、メーカーまでが同一の製品が家庭薬として販売されており、それで格段の不都合は生じていません。
(事前検査には採血が必要ですから家庭で自分で検査をすることはできません。薬局やネットで購入できる国は事前検査を省略していることになります。処方薬に指定されている国でもネットなどで購入すれば当然事前検査はやりませんし、動物病院でも「検査をしたほうがいい」と思われる犬だけを検査するのが普通なようです。)

日本と同じく、アメリカでも処方薬に指定されているハートガードプラス(日本ではカルドメックとして販売されている製品)の説明書には、投与前の事前検査を奨めていますが、どこにも「事前検査をしないで与えると危険な副作用があるから」などとは一言一句も書かれていません。
ミクロフィラリアの多い犬には、ミクロフィラリアの緩慢な死亡による一過性の副作用(元気消失・よだれ・軟便など)を起こす可能性は記載されていますが、これらの副作用はミクロフィラリアがいてもいなくても起こりえます。
説明書が言っているのは「ハートガードの通常の使用量では成虫の駆除は出来ませんから、もし成虫がいる場合にはこの薬を飲んだだけではフィラリアを予防したことにはなりませんよ。検査をして成虫の存在を確認しないと、折角ハートガードを与えても成虫がいる限り、犬の健康障害は起こりえますよ。だから、検査をして成虫の有無を確認してください」、という趣旨のことだけです。
ハートガードの説明書には、規定量のイベルメクチンは成虫を殺せませんとはっきり書いてあります。
メーカーの製品説明書(英文)

成虫は殺さないのですから、成虫の死骸が心臓の血管を塞いで犬を死亡させることなどありません。
(そう書いてあるサイトもありますが、これは都市伝説のたぐいです。実例はトンデモサイトでリンクしてあります。)

イベルメクチンはまた、ミクロフィラリア(体内の成虫が産むフィラリア幼虫で蚊から移されたものではない)についても、規定の投与量ではある程度の駆虫効果しかないと認めています。

フィラリア予防薬の副作用リスクは飼主さんにとって切実な問題ですから、次のページで改めて詳しく触れることにいたします。


通年投与への提案





通年予防をすれば投与前検査は不要
何かの理由で、犬を動物病院の検査に連れていくことのできない飼い主さんはどうしたらいいのでしょうか?
投与前検査はフィラリア予防薬を処方薬にしておくための儀式みたいなものですから、動物病院に連れて行けるのであれば検査してもらえばいいだけのことかもしれませんが、病院が近所になくて、しかも高齢だったり車を運転できない飼い主さんは「自分の犬にフィラリア予防をするな」、と言われているようなものです。業界の都合でこんなことが許されていいわけがありません。
都市部に住んでいる人には実感が乏しいかもしれませんが、全国の薬局数50,000軒 、歯科診療所が68,000軒に比べて動物病院は10,000軒しかなく、それも都市部に偏る傾向があります。ちなみにパチンコ店ですら全国に12,000軒ありますから、動物病院はそれより少ないことになります。


一つの解決法は、犬を連れて行けない事情を理解してくれる動物病院を探すことです。
建前はともかく、どの獣医師でも事前検査の信頼性や、検査を省略したときの安全リスクについては充分に認識しているはずです。
ネットで探せば「事前検査をするのは法律です」、みたいなサイトしか出てきませんが、実際には多くの病院が飼い主さんの事情によっては検査を省略しています。動物が好きでその職を選んだ獣医師であれば、どうしても事前検査をできない犬達にフィラリア予防薬を渡さないことなどできるわけがありません。

これに対するもう一つの答えは、実際には愛犬が感染していてもいなくても、少なくとも軽度には感染してしまっていると想定し、その想定に基づいた予防を自己責任で行うことです。
フィラリア予防の必要性を認識している飼主さんにとって、予防を諦めてしまうのが最悪の選択です。
予防薬そのものは海外から購入すれば済む話ですし、おまけに費用も何分の1かで済みますが、この場合には通年投与を励行する必要があります。
なぜなら、感染していると想定する以上、その成虫をなるべく早く駆除する必要があるからです。
通年投与すれば、もし本当に成虫感染があったとしても2年後にはいなくなります。(一般に成虫の寿命は5〜7年とされています。)
それに、予防を開始して1年が経過すれば、もう事前検査をする必要がなくなります。通年投与していれば「事前」という概念がなくなってしまいます。
多くの場合、そこまでやる必要はないかもしれませんが、「予防」であるならば最悪の事態を想定して対処し、無駄になればなったでよかったと考えるべきでしょう。通年投与は近年、海外の専門機関でも推奨されている予防法です。
「通年投与」については、ページを改めて説明してあります。
通年投与への提案

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フィラリア予防薬の安全性について