U フィラリア予防の知識

フィラリア予防薬は本当に動物病院業界がいうほど危険なのか?
であれば、なぜ他の国々では家庭薬として承認されているのか?

もしフィラリア予防薬が動物病院業界が言うように危険なものであるならば、それを家庭薬(一般薬)として薬局やネットで販売している多くの国の監督官庁や獣医師は無責任極まりないことになりますし、それらの国々では多くの犬が副作用で死亡しているはずです。

日本ではなぜ成虫のいる犬にフィラリア予防薬を飲ませると死亡事故が起きるという話ばかりが強調されているのでしょうか?
未だに3頭の内の2頭の犬達が予防をしてもらえていない中で、フィラリア予防の普及を妨げている理由のひとつは 「動物病院業界の独占販売と独占価格、病院の地域的偏在」、そしてもうひとつの理由は「投与リスクの情報操作」です。
フィラリア予防をしなければ、どの犬にもフィラリア感染の可能性は100%あります。
数年間予防をしてもらえていない犬の感染率が実際に80%、90%になる地域もあると言われています

しかし、予防薬を与えないで何年も放置することによる感染リスクは、投与することによる深刻な副作用リスクの何千倍、何万倍に及ぶといっても過言ではありません。

このページでは、下記に世界でもっとも多く販売されているメリアル社のハートガードの、アメリカでの製品説明内容を例にあげて、投与時の副作用リスクがどのようなものかを紹介します。

「フィラリア(犬糸状虫)」の知識

フィラリアとはどんな虫か?
そして、飼い主さんが知っておくべき
フィラリア症について

ィラリアの生活環
フィラリア幼虫の成長と感染経路



「フィラリア予防」の知識

<フィラリア予防薬業界の背景>
飼い主さんが「風説」の被害者に
ならないように・・

<なぜ処方薬なのか?>
高い予防薬を動物病院だけ
でしか買えない不明朗な仕組み

<投与前検査とは何か?>
日本でだけ義務づけられている
『全頭』投与前検査

<フィラリア予防薬の危険性>
日本だけ、なぜ「危険」なのか?

<通年投与の提案>
個人輸入の普及で可能になった
より完璧な予防薬の使用法

フィラリア成虫の寄生が予想される
犬への予防薬の与え方




個人輸入の知識

個人輸入の利用方法

個人輸入の通関時の規制の説明

個人輸入の可能性と期待



参考資料一覧

このサイトの情報源リスト



おまけ

全国動物病院での
フィラリア予防薬価格一覧表


トンデモサイト
フィラリア・トンデモサイトの一例




フィラリア予防の普及

<予防が普及しないのはなぜか?>
3頭に2頭は予防をしてもらえて
いないという現実




今後の掲載予定ページ

蚊について
猫のフィラリアについて
腸管寄生虫の知識



FILARIA TRIVIA(準備中)

ウォルバキア
フレンチ・ハートウォーム
フィラリアの人感染
海外のフィラリア事情




アメリカフィラリア協会




World Small Animal Veterinary
Association
ハートガードといってピンと来ない方も「カルドメックP」というビーフの角切りの予防薬といえば、 「あぁ、あれか」と納得される方も多いのではないでしょうか?
日本では同じメーカーからハートガードプラスとまったく同じものが、商品名を「カルドメックP」として発売されています。
アメリカは日本と並んでフィラリア予防薬を処方薬としている数少ない国ですが、日本との事情は大きく違います。
最大の違いはアメリカでは処方薬であっても医薬分業がされており、飼い主さんは自分の判断でフィラリア予防薬を(州によって販売サイドへの 規制内容は多少異なりますが)ネット業者からなどでも購入できることです。
つまり、アメリカの消費者には動物病院以外でも購入する選択肢があり、日本にはそれがないということです

海外では店頭陳列されるので目を引くパッケージに入っています

ハートガードプラスは、世界有数の動物薬メーカー「メリアル社」によって今まで世界中で4億箱近くが販売されている フィラリア予防薬のメガヒット製品であり、日本でも同一製品が「カルドメックP」の製品名で発売されています。 成分のイベルメクチンはすでに特許期限が終了しているために、日本を含む世界各国でジェネリック製品が発売されていますから、 それを含めれば更に多くの犬達がイベルメクチンを与えられていることになります。
製品の優れた効能と安全性が、ここまで広く使用されている理由には違いありませんが、もう一つ無視できないのが、この製品は世界の主な国では家庭薬(一般薬)として販売されており、飼い主さんが便利にリーズナブルな 価格で利用できるということにあります。

一方で、日本ではフィラリア予防薬は動物病院でしか購入できない処方薬に指定されており、「フィラリア予防薬は動物病院できちんと検査をしてから投与しないと危険であり、検査をしないで与えると犬が死んでしまうこともある」というまことしやかな説明が罷り通っています。
飼い主さんは何と言っても自分の犬は可愛いですから当然不安に思います。 しかし、「犬が死んでしまうこともある」というのは別に間違いではありませんが、確率を無視して、 いかにも普通に起こりうるような言い方で飼い主さんの不安を煽るのは感心しません。
そんな危険なものが家庭薬として世界中で通用するはずがありません。


危険であると言わなければ処方薬である必要もないわけで、フィラリア予防薬を海外の数倍の価格で販売している「業界」では そう言わざるを得ない事情も理解できますが、 もし本当に一部の動物病院のホームページやそれを真に受けて受け売りしている素人サイトに書かれているほどに危険なものであるならば、先ずメリアル社にその旨を伝えて ハートガードを世界中で処方薬にするよう働きかけるべきでしょう。日本の常識が通用するならば世界中で多くの犬たちが副作用で死んでいるに違いありません。
専門家の権威を振り回して、信じやすい消費者を相手に殊更不安を煽り、業界ぐるみで海外の数倍という法外な価格で売りつける行為は「除霊の壺」商法に通じるものであり、詐欺師との違いは利権によって守られているかどうかということでしかありません。


ハートガードの商品説明書(部分)を転載します。

出典:アメリカ食品医薬品安全局(FDA)

日本の同等製品(カルドメック)の商品説明と見比べてみると、それにはハートガードプラスに記載されていない「急性犬糸状虫症(大静脈症候群)がみられることがある」という1行がさりげなく挿入されています。この文章はハートガードの副作用説明欄にはみられません。
カルドメックの商品説明

世界的製品でありながら国によって説明内容が違うのは不思議ですが、これはイベルメクチンが処方薬に変更されたときの経緯に無関係ではないと思われます。
ここで説明されているハートガードの説明書はアメリカでの承認時のものであり、以降変更はありません。日本の製品説明書も以前は同文であったと思われます。

フィラリア予防薬が処方薬になった経緯

HEARTGARD Plus precautions
All dogs should be tested for existing heartworm infection before starting treatment with HEARTGARD Plus which is not effective against adult D. immitis.
Infected dogs must be treated to remove adult heartworms and microfilariae before initiating a program with HEARTGARD Plus.
(意訳)
<使用前の注意>
ハートガードプラスはすでに寄生しているフィラリア成虫に対しては効果がありませんから、
これから予防を始めようとするすべての犬は、投与に先立ってフィラリア成虫が寄生しているかどうかをテストすべきです。
成虫がいる場合には、ハートガードプラスの投与プログラムを開始する前に、成虫や(成虫の産み落とす)ミクロフィラリアを駆除する治療が 行わなければなりません。

<補足説明>
この説明にあるように、ハートガードプラスはすでに寄生している成虫を除去できませんから、成虫がすでに寄生している場合に 成虫が引き起こす害を防ぐことが出来ません。
成虫がいる場合には、即刻駆除をしなければならない場合、あるいは予防の前に駆除を優先した方がよい場合がありますから、 その可能性のある場合には事前の検査は必要です。
(もちろん、そんな場合に検査をせずに成虫駆除注射をする獣医師はいません。)
ハートガードに限らず、フィラリア予防薬は成虫を駆除するものではありませんが、知識の少ない消費者は、その区別がつかず、 予防薬を与えていればそれで問題ないと思いがちです。
ご存知のように、訴訟社会とも言われる欧米ではメーカーの告知責任が厳しく問われるので、起こりがちな誤解を防ぐために非常に丁寧な説明をしています。

そのアメリカの製品説明書にすら、事前検査を行わないで予防をすると危険だからとは一言も書かれていません。
あくまでも予防薬では既に寄生している成虫の害は防げない、という事実を告知しているだけです。

While some microfilariae may be killed by the ivermectin in HEARTGARD Plus at the recommended dose level, HEARTGARD Plus is not effective for microfilariae clearance. A mild hyper-sensitivity reaction, presumably due to dead or dying microfilariae and particularly involving transient diarrhea, has been observed in trials with ivermectin alone after treatment of some dogs that have circulating microfilariae.

いくらかのミクロフィラリアは、規定量のハートガードに含まれるイベルメクチンで除去され得ますが、ハートガードはミクロフィラリアの全面的な除去には効果的ではありません。
死亡した、あるいは死亡しようとしているミクロフィラリアのせいであると考えられる穏やかな高感受性反応、特に一過性の下痢は、体内を循環しているミクロフィラリアがいる犬達をイベルメクチンで治療したときに観察されています。

ADVERSE REACTIONS
In clinical field trials with HEARTGARD Plus, vomiting and diarrhea within 24 hours of dosing was rarely observed. ( 1.1% of administered doses.)
The following adverse reactions have been reported following the use of HEARTGARD.
Depression lethargy, vomiting, anorexia, diarrhea, mydriasis, ataxia, staggering, convulsions and hypersalivation.

<副作用>
臨床フィールド試験(一般家庭での飼育環境下にある犬達にハートガードを与え経過を観察する試験)では
投与後24時間以内に稀に(投与回数の1.1%)嘔吐と下痢がみられました。
また、ハートガードの使用に伴って次のような有害な副作用が報告されています。
元気消失、嘔吐、食欲低下、下痢、瞳孔拡大、運動失調、歩行異常、痙攣、唾液分泌過多。

SAFETY
HEARTGARD Plus has been shown to be bioequivalent to HEARTGARD, with respect to the bioavailability of ivermectin.
The dose regimens HEARTGARD Plus and HEARTGARD are the same with regard to ivermectin (6mcg/kg)
Studies with ivermectin indicates that certain dogs of the Collie breed are more sensitive to the effect of ivermectin administered at elevated dose levels (more than 16 times the target use level) than dogs of other breeds.
At elevated doses, sensitive dogs showed adverse reactions which included mydriasis, depression, ataxia, tremors, drooling, paresis, recumbency, excitability, stupor, coma and death.
HEARTGARD demonstrated no sign of toxicity at 10 times the recommended use.(60 mcg/kg) in sensitive collies.
Results of these trials and bioequivalency studies, support the safety of HEARTGARD products in dogs, including Collies, when used as recommended.

<安全性>
ハートガードプラスとハートガードのイベルメクチンの生体への影響は同様であることが 示されています。両者のイベルメクチン服用量((6mcg/kg)と服用法(毎月一回)は 同じです。
イベルメクチンについての研究は、コリー系犬種のあるものに通常より16倍のイベルメクチンを過剰投与したときに、他の犬種に比べてイベルメクチンへの感受性がより強いことが 示されています。
このレベルの服用量ではイベルメクチンへの過剰感受性を持つ犬達に次のような副作用が 見られました。
瞳孔の拡大、元気消失、歩行失調、震え、よだれ、不全麻痺(運動しようとしても、四肢などに十分な力の入らない・四肢の感覚が鈍く感じる状態=wikipedia)、臥床、 興奮昂進、朦朧、昏睡、死亡。
しかし、ハートガードを過剰感受性のコリー種に通常投与量の10倍(60 mcg/kg)を与えても、どのような中毒症状を示すことはありませんでした。
これらの実験と生物学的同等性スタディの結果は、コリー種を含む犬に推奨量のハートガード製品(訳注:ハートガード30錠剤とハートガードプラスチュアブル)の安全性を支持するものです。

HEARTGARD has shown a wide margin of safety at the recommended dose level in dogs, including pregnant or breeding bitches, stud dogs and puppies aged 6 or more weeks.
In clinical trials, many commonly used flea collars, dips, shampoos, anthelmintics, antibiotics, vaccines, steroid preparations have been administered with HEARTGARD Plus in a heartworm disease prevention program.
In one trial, where some pups had parvovirus, there was a marginal reduction in efficacy against intestinal nematodes, possibly due to a change in intestinal transit time.
ハートガードは推奨される服用レベルにおいて、妊娠中、授乳中の雌犬、交配用の雄犬、6週令以上の犬に対し、非常に広い安全域を示しています。
臨床実験では、普通に使われている多くのノミ取り首輪、滴下剤、シャンプー、駆虫薬、抗生物質、ワクチン、ステロイド製剤が使用されました。
その中で、パルボに罹った仔犬に、おそらく(パルボによる下痢のために)薬剤の腸管通過時間に変化によって腸管寄生虫駆除への投与量不足が見られました。


今まで予防をしていなくてもフィラリア症状が出ていない成犬にはじめてフィラリア予防薬を与えるときは、その犬が陽性であると仮定して対応する必要があります。
このページのハートガードの説明にあるように、陽性犬への投与リスクについてはさほど恐れることもありませんが、より慎重な投与は必要です。
多くの方には無関係な話ですが、何かの事情、例えば保健所に持ち込まれた成犬を引き取るなど前の状況が分からないまま飼育をしなければならない場合などもあります。
他の病気の心配もありますから動物病院で検査をするのが無難ですが、それが出来ない場合でもフィラリア予防はしなくてはなりません。
その際に参考にしていただければ幸いです。

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