愛犬のためにはじめよう! 通年投与


温暖地域でのフィラリア予防は通年で行う方が望ましいことは以前から言われていたことですが、最近では通年で投与することは「予防効果をより完璧にする」ということだけでなく、他にも様々な副次的効果のあることが広く知られるようになってきており、蚊の発生していない時期にも与えることのメリットが注目されています。
すでに海外では日本のカルドメックPに相当するハートガードプラスには12粒12ヶ月分や、一回注射すれば12ヶ月の間予防できるプロハートSR12が販売されており、通年投与が浸透しつつあります。
通年投与をすれば12ヶ月分の予防薬が必要ですから、従来の6ヶ月投与に比べて倍の費用がかかってしまいます。
しかし、海外から直接購入すれば国内購入の6ヶ月分の費用で12ヶ月分を購入してもおつりが出ます。
海外で通年投与が普及しているのも、フィラリア予防薬価格が安いので年間投与が負担にならないというのも理由のひとつでしょう。。


フィラリア予防だけに特化したフェアプライスAu(オーストラリア製ジェネリック)24錠入り(半錠ずつ使うので48ヶ月=4年分)に到っては¥7800〜(海外送料込み)で購入できます。飼い主さんには月に¥160の負担にしかなりません。



今シーズンのフィラリア予防薬購入はぐ〜とお得なこの機会に


通年投与のメリットには下記のようなことがあります。

<万一与え忘れがあっても大丈夫。リーチバック効果>

蚊から犬に移ったフィラリア幼虫はL3〜L5の成長段階を経て成虫になり、肺動脈に棲みつきますが、今の予防薬が駆除できるのはL3〜L4の段階、つまりフィラリア幼虫が血流の中で成長するようになる前に胸や腹の筋肉の中で成長をする感染50日後までであって、そこで脱皮をして血流に運ばれるようになった幼虫(L5・未成熟成虫=immature adult)は駆除できないとされてきました。
しかし、最近の報告では、イベルメクチン(ハートガードプラスやフェアプライスの主成分)を蚊の季節が終わったあとも投与を中止せず、そのまま数ヶ月間継続的に投与し続けると、この未成熟幼虫も駆除できることが分かってきました。
L5が成虫として肺動脈に棲みつくまでにはL5になってからでも2〜3ヶ月かかるとされていますから、イベルメクチンを継続的に与えていれば、万一飼い主さんがシーズン中の予防薬投与を1〜2回忘れたりして生き残った幼虫がいたとしても成虫になるのを防ぐことができ、予防が完璧になるだけでなく毎年のフィラリア検査も要らなくなります。
イベルメクチンを通年投与しても犬の体に負担をかけることはありません。フィラリア予防の投与量であれば1〜2日でそのほとんどが排出されてしまいます。
(Wikipediaによれば投薬が必要な期間に4ヶ月のブランクが生じても、その後継続的にイベルメクチンを与えることで、その内の95%が成虫になることを防げるとしてあります。
犬の健康に害を与えるのは成虫になったフィラリアだけです。 成虫になることさえ防げればフィラリアによる健康被害はありません。)
Wikipedia(英文)

<成虫の余命短縮>
普通、フィラリアの成虫は5〜7年の寿命を持つ(アメリカフィラリア学会)といわれていますが、イベルメクチンを毎月投与しているとその余命が2年程度に短縮されてしまいます。もちろん、成虫が産んだ幼虫もいなくなります
フィラリア予防をしているから成虫はいないと考えている飼い主さんの犬の間でも、少数のフィラリア成虫が棲息していることは意外と多いようです。
これは、「毎月一回必要な時期にきちんと投与する」という一見簡単なことでも、間違いなく長期間続けることがけっこう難しく、場合によっては「投与を忘れたこと自体を忘れてしまう」ことすらあるからです。
また、少数寄生の場合、動物病院で行う投与前の一通りの検査だけでは検出することが出来ないことが多いですし、フィラリアの病状は数年後に現れますから、結果としてそのまま放置することもありがちです。

<♀成虫の不妊化>
何故♀フィラリア成虫が幼虫(ミクロフィラリア)を産まなくなるかの作用機序は明らかではないものの、イベルメクチンを与えていると♀成虫は不妊化してしまうことが知られています。
ミクロフィラリアそのものは犬の害になるものではありませんが、ミクロフィラリアのいる犬は蚊に吸血されることによって他の犬達への感染源になります。
自分の飼い犬がフィラリア拡散の加害者になることは飼い主さんとして絶対に避けるべきことでしょう。

<腸管寄生虫の通年予防と駆除>
多くのフィラリア予防薬には腸管寄生虫駆除成分が含まれています。
腸管寄生虫の感染には季節性がありません。一年中同じ感染リスクがあります。
フィラリア予防薬を通年投与していれば、副次的に腸管寄生虫の予防もできることになります。

<予防薬投与前の検査の不要化>
毎年、蚊が出現し始めた頃、犬の飼い主さんのところには前年予防薬を購入した動物病院からダイレクトメールが届きます。そして、薬を購入する前に「事前検査」、あるいは「投与前検査」が行われます。もちろん、有料で薬代に加算されます。
前年、投薬をしていても、何かの加減で予防が完璧ではないかもしれないので 検査は必要です、というのが動物病院の説明でしょう。
(説明してくれるところはまだいいほうで、横柄な病院であれば「お宅のワンちゃんが副作用で死んでもいいんですか?」ということで検査を強制するかもしれません。))
去年の残りの予防薬を今年使うのは、自分の犬に命がけの動物実験をしているのですよ」と書いてある動物病院のサイトもありました。しかし、通年投与をすればこんな馬鹿げた話はなくなります。
病院からDMの届く飼い主さんはまだいいですが、近所に動物病院がなかったり、さまざまな理由で愛犬を病院まで連れて行くことが出来ない飼い主さんが海外から直接購入するときは年間投与を原則にしたらよいと思います。
通年投与ということは「事前検査」の「事前」がなくなってしまうことを意味するからです。

<飼い主さんのモラル>
犬は自分の力でフィラリア感染を防ぐことが出来ません。
愛犬をフィラリアから守るためには飼い主さんが確実に予防をしてあげるしかありませんが、そのためには「通年投与」がベストであるといえるでしょう。
イベルメクチンの通年投与をすることは、症状のない軽感染の犬の成虫を緩慢に駆除することに有効ですが、その前に前述のリーチバック効果によって「与え忘れ」があっても、成虫の定着を防げるのですから、愛犬のためにぜひとも励行したい予防習慣です。
飼い主さんの不注意で、自分の愛犬に成虫が棲みつきミクロフィラリアが血中を泳ぐようになれば自分の愛犬が他の犬達への感染源になってしまうかもしれません。
これこそ愛犬家の悪夢です。

<注意>
フィラリア予防薬の長期投与でここで述べたような効果が期待できる成分はイベルメクチンだけです。
ミルベマイシンには効果がなく、モキシデクチン、セラメクチンの効果は実証されていません。
イベルメクチンの成虫駆虫効果には24ヶ月かかるとされていますが、投与開始後から徐々に死滅して数が減るのではなく、18ヶ月目あたりから死滅数が増えていくようです。
したがって、投与開始後の18ヶ月は成虫の及ぼす害が継続し、症状が進行するだけでなく心臓や肺の動脈硬化や他の臓器への悪影響が後遺症として残ることになりますから、多数の成虫がいる場合や既に重い症状が見られる場合には、副作用リスクやケアの負担を考慮しても、成虫駆除薬(イミトサイド)の使用がベターな選択になることもあります。
また、イベルメクチンの投与間隔を縮めたり、投与量を増やしたりしても、成虫の死滅ペースが早くなることはないそうです。

蚊の体内のフィラリア幼虫(L2)は外気温が14℃になると成長・脱皮をして犬に感染できるL3になるので、年間の気温がコンスタントに14℃を超える沖縄では、前述のような効果を期待する前に、まず蚊からの感染を防ぐための通年投与が必要になります。


このページでは「フィラリア予防薬の通年投与」について飼い主さんと愛犬の立場で説明させてもらいましたが、動物病院が「その気」にならなければ、急速な普及は見込めません。
次のページでは「通年投与」が動物病院の経営にどんなかかわりを持つか?を考察します。
通年投与と動物病院



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