動物病院では教えてくれない、飼い主さんのためのフィラリアの知識
Nearly everything you need to know about heartworm disease in dogs & cats


通年投与と動物病院


前のページで述べてきたように、フィラリア予防薬の通年投与は愛犬のフィラリア対策には理想的なのですが、もし予防費用が今の倍もかかり、それを今後もずっと余分に払い続けるのでは、単なる理想論で終わってしまうでしょう。

新しく加える6ヶ月分の投与は無駄になる可能性も高いからです。
その意味で、海外からの個人輸入の普及は無駄な予防経費を掛けずに済むので通年投与の普及にもつながるものであると期待されます。
実際にジェネリックメーカーの販売価格は1年分12錠でも\3000程度です。


これくらいの費用であれば通年予防もずっと現実味を持ちますし、さらに安くしようと思えばワンサイズ大きい錠剤を購入して二つに割って使う奥の手もあります。
たしかに、今のままの動物病院の一般的な価格体系で「通年投与」を奨めても、費用が2倍になってしまったら飼い主さんは引いてしまいます。
それでは、海外との価格差が開くばかりです。

病院の経営がフィラリア予防薬の売上げに大きく依存している以上、その利益を守ろうとするのは当然でしょうが、海外の同一製品に対し価格が大幅に高いという情報は確実に飼い主さんに浸透していきます。
海外業者は通販業者ですから、一人の購入者を獲得するのには百人に情報を発信する必要がありますから、結果的には実際に個人輸入されている実数よりも、そんな情報の普及が値下げ圧力になってしまうでしょう。
「動物病院の経営を維持し地域の犬猫達に貢献するためには、フィラリア予防薬の価格を海外製品より高くして稼ぎ頭にせざるを得ないのです」という説明を行い、飼い主さんの理解を求める形でやってきたら話は違ったかもしれません。
動物病院がなくなれば、困るのは飼い主さんと犬猫達です。
現に、お米などは海外に比べて格段に高いことは広く知られていますが、高い価格でも流通しているのですから「日本の農業がなくなったらいけない」という消費者のコンセンサスは曲がりなりにも得られているといえるでしょう。


しかし、副作用のリスクで飼い主さんを脅かして個人輸入を止めようとする姑息な手段を取らなくても、
今からでも動物病院が自分の利益を落とさないで、海外業者に対抗する方法があります。
それが通年投与です。
つまり、動物病院は海外業者の先手を取って、追加の6ヶ月分の価格を大きく下げ「通年投与分(1年分)いくら」として販売を行えばいいのです。
例えば、今1シーズンで\8,000(検査料含む)をもらっている飼い主さんには、通年投与(2年目から検査は要らない)に切り替えてもらって代金を\10,000にするといった形にです。
この場合であれば、\2,000値上げする代わりに今までの倍の12錠を販売することになりますが、飼い主さんは割安感も持つでしょうし、「投与前検査」から解放されるという利点もあります。

そして、病院から見れば、6ヵ月分の錠剤を余分に出しても、仕入原価増は知れています。
仮に仕入れ価格が\600(@\100)としても、仕入原価増は\600にすぎません。
つまり、6か月分を12か月分にして、上記のように\2,000しか値上げしない場合でも\1,400の利益が増えますから、投与前検査料がなくなっても採算的にはカバーできます。

海外の業者の仕入れ価格は国内の動物病院のそれに比べればかなり高くついているはずです。
海外でフィラリア予防薬が一般薬として風邪薬や胃薬のように販売されているということは、メーカーが宣伝をしなければならないことを意味しますし、その宣伝費は当然製品価格に上乗せされます。
現に私のいたブリスベンでは、蚊が出てくる季節になれば、テレビや新聞・雑誌などでフィラリア予防薬の広告を頻繁に目にしました。
海外業者は現地での広告費を含んだ製品を仕入れなければなりません。
ですから、今の6ヶ月分を12ヶ月にした時にコストを下げられる幅は大きくありません。
郵送費は同じで済むでしょうが、仕入れ原価がほとんど倍になるとすれば、価格の優位差はずっと縮まります。
動物病院は海外価格と同じである必要はありません。
価格差が倍程度であれば、動物病院の持つ信頼度や便利さで充分に対抗できるはずです。

通年投与が動物病院にも幸いするのは、個人輸入の跳梁を防ぐことだけではありません。
ある意味それより大きいのは通年投与という新しい方法を導入することで「一律の投与前検査」などという、良心的な獣医師にとっては心にやましいことをもっともらしく言わなくてすむようになることでしょう。
今まで「検査をしないで薬を飲ませると犬が死んでしまいますよ」と言っていた動物病院でも、今度1年間続けて飲めば検査が要らなくなりました、と手のひらを返しても別におかしいことはありません。
通年投与のメリットは広範にあるので説得材料には事欠かないはずです。
実際に、米国フィラリア協会はじめいろいろな機関が通年投与を推奨していますし、海外では年に一回注射すれば一年間の予防が出来てしまうPROHEART SR12通年投与が急速に普及しているようです。

販売単位を12ヶ月にすることで、製品価格が海外業者と競争できれば、動物病院業界は日本にしかない規制で自分たちを守ってもらう必要もなくなります。
実際には海外の現地価格よりかなり高くても問題にはならないでしょう。
飼い主さんが比較するのは、現地価格に業者のマージンや送料が含まれた「海外業者価格」だからです。

これらのことを一言でいえば、通年投与が普及すればフィラリア予防薬の業界環境が健全化するということです。
ここまで見てきたとおり、通年投与は予防薬の使用者である飼い主さんや犬にも、動物病院にも双方にメリットがあり、いわゆるWIN-WINの関係になりますが、実際には海外業者にも大きなメリットがあります。
この先の話は業界寄りに偏りすぎますので、スキップしていただいても大丈夫です。


海外業者と通年投与

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