業界による情報操作

下に取り上げたのは社団法人 東京都獣医師会による犬の飼い主さんへの啓蒙パンフレットの一部です。
(全文はこちら)

1957年以来、日本での発生事例のない狂犬病ですが、予防ワクチンの接種義務は連綿と続いています。
狂犬病予防法は「国内に狂犬病が発生していた時代」にこそ有用な法律でした。
国内で狂犬病の絶滅が宣言された時点で、廃止されるか新しい環境に見合った内容に改変されるべきだったのでしょうが、強制的予防接種という利権のの甘い味を手放せない業界では問題をすり替えました。
「なるほど国内では発生していないが海外から侵入してくる可能性がある以上、予防接種は必要不可欠である・・・」というわけです。
「獣医師会によって書かれた狂犬病予防ワクチンを今でも接種しなければならない理由」はその趣旨に沿って書かれています。

ちなみに狂犬病予防法による海外からの侵入に対する対策は、検疫なしでの輸出入を禁じる項目以外一言一句も書かれていません。
つまり、それは動物検疫所の仕事であって正常に機能しています。狂犬病に感染した犬や他の動物が検疫を通り抜けたことはありません、というか感染動物が持ち込まれたことがありません。何しろ神戸淡路大震災のときにスイスから駆けつけた救助犬を検疫で止めてしまったほどです。

日本獣医師政治連盟
日本獣医師会傘下の政治団体です
狂犬病予防注射についての国会質問
日獣政会計報告書
狂犬病予防注射推進の要望書
獣医師問題議員連盟
議題:狂犬病予防接種について




海外への旅行者が旅先で狂犬病に感染し、帰国してから発症して死亡した数例がありますが、そのことと全国1000万頭の犬達が予防ワクチンを接種しなければならないことと、どこをどうすればつながるのでしょうか?
他のページでも書いてあるように、狂犬病は発症した感染動物が他の哺乳類を咬み、唾液の中のウィルスを移すことにより感染します。
帰国した不運な発症者が周囲の犬を咬んで感染させることが考えられるのでしょうか?



日本での犬の輸入数は動物実験に使われる犬などすべての犬を合わせても7200頭であり、そのほとんどは先進国からの持ち込みです。(H22年 動物検疫所統計数字
狂犬病発生地域からの持ち込みには予防接種証明書以外にも検疫期間として検疫所に保留しなければなりませんし、書類を偽造して万一にも感染の可能性のある犬を持ち込んでも誰の得にもなりません。もっとも数年前に台湾の悪質ブリーダーから生後3ヶ月未満の仔犬を大量に輸入し、悪質ペットショップで売りさばくという事件が発生しました。狂犬病予防ワクチンは生後3ヶ月以降で接種すればよいという法の盲点をついたものです。現在このような方法は禁止されています。
犬以外の狂犬病に感染した哺乳動物が持ち込まれて検疫をすり抜けることは考えられないではありませんが、少なくとも過去60年間そのような事例は発生していません。
その可能性を云々することは、どうしても儲けの種の狂犬病予防接種を続けたい人達がこじつけている理由でしかないでしょう。
また、百歩千歩譲ってそのような事態が生じたとしても、そこを感染源として狂犬病が拡散する可能性は皆無です。
他の哺乳類(たとえばアライグマ)が検疫所を脱走し、発症した段階で他の野生動物や飼い犬に咬み付くなんて可能性が全国で狂犬病予防接種をしなければならない正当な理由になるでしょうか?


ロシアの貨物船が稚内や新潟に寄港し、連れている犬と一緒に上陸して散歩しているといったことが伝えられており、港周辺には犬をリードから放さないように掲示板が出ているそうです。(上陸させること自体が違法ですが、船にいる犬を散歩させないのはちょっと不人情だということでしょうか。)
日本の45倍の面積を持ち、人口も14千万と日本を上回るロシアでは年間数人の狂犬病による死者(=発症者)が報告されています。この数字は日本でハチに刺されてなくなる方とほぼ同じですが、実数はこの何倍かあるかもしれませんがいづれにしても確率的には非常に低いものだといえます。日本で感染が拡がるのには狂犬病に感染しているロシアの船の犬が逃げ出したり捨てられたりして野性化し、保健所がそれを保護する前に、他の犬や野生動物に咬みつく必要があります。
それにしても港町に海外の犬が散歩するからといって、長野県や群馬県の犬に予防注射を強制する意味があるのでしょうか?

下記は、朝日新聞の「朝日GLOBE」に掲載された記事の抜粋です。
だが、もし輸入以外の侵入ルートがあったらーー。国内で最も警戒しているのが北海道だ。理由のひとつは道内に寄稿するロシア船。稚内保健所の1997,99年の調査では6割が犬を同乗させていた。
北海道でロシア犬から狂犬病が見つかったことはない。だが、道立衛生研究所の浦口宏二(53)は「こうしたルートで犬だけでなくキツネなどの野生動物に感染すれば、対応は非常に難しくなる」と警戒する。
日本で狂犬病を比較的簡単に根絶できたのは、犬から野生動物への感染が少なかったことにもよります。人間と犬猫の狂犬病がなくなってから野生動物の狂犬病も発見されていないことがそれを物語ります。取り越し苦労なら結構ですが、だから「思いもよらぬ動物の侵入は全国的にありうる。予防接種率を高めるしか防御の手だてはない。」と訴える。
この獣医師のページにもあるように「海外から狂犬病の犬が入ってくる」というのは、狂犬病予防接種を維持したい人達が決まって取り上げるものです。
いわゆる出来レースの国会質疑と答弁(H18.11.01)



コンテナに混入した歓迎されない動物が上陸し、国内に根を下ろすということは事実ありうることです。セアカコケグモも一例でしょうし、過去には輸入された木材に蛇も一緒に入っていたということもありました。
しかし、混入した動物が国内で狂犬病を引き起こすためには、その動物が狂犬病に感染した哺乳類であって他の動物の皮膚を破るほどの牙(コウモリでは嘴)を持っていなければなりませんから、可能性は限りなく狭まります。
この獣医師会のページに書かれていることは「可能性」であって、事実今までに起きたことではありません。
排除できない可能性というのであれば、恐竜を滅ぼしたような巨大な隕石が太平洋の日本の近くに衝突すれば、津波が東京や埼玉県を跨いで群馬県や栃木県にだって達することだってありえます。だからといって群馬県が県境に防潮堤を作るでしょうか?


上記朝日新聞のインタビューに答えた獣医師のように、「予防接種率を高めるしか防御の手だてはない」のでしょうか?
業界関係者は「予防接種を続けているからこそ狂犬病が発生していないと言います。
しかし、「半数以上の犬が予防注射を受けていないのに狂犬病は発生していない」と言うこともできます。
結論は明らかです。
「日本に狂犬病のウィルスそのものが存在していない。だから狂犬病が発生しない」のです。
いくら法律で縛っても、狼少年の論法で脅かしても予防接種をしてくれない飼主さんは半数を超え、これからも増加基調にある
→意地の悪い言い方をすれば、接種頭数が減れば業界の利益も減ってしまうというのが懸念材料ではないでしょうか。




現在の国内には狂犬病に感染している野生動物のいないことは獣医師会などでも認めています。
ということは、海外から感染動物が侵入して発症し、野生動物に咬みついて狂犬病を拡げることしか可能性はありません。
非常に低いその可能性と全国の飼い主さんが予防注射をしなければならないこととは関係ありません。
もし、そのようなことが起きたら周辺の犬や猫への予防注射を徹底することが先決です。

それでも狂犬病が国内発生したらどうなるか?

今が清浄国であるからといって、狂犬病の発生について注意しないでよいということではありませんが、上記に見るように予防対策としての
狂犬病予防ワクチンの接種というのは何の役にも立ちません。
他に有効な予防方法がいくらでもあります。
狂犬病が発生したときにかかる防疫費用は犬の飼い主さんが負担すべきだから予防接種費用から応分の金額を積み立てているというのであれば少しは分からないでもないですが、飼い主さんの払う予防費用は獣医師会と動物病院の懐に入ってしまっていますから、万一狂犬病が発生したときの費用は税金で賄われることになります。

実効性のある狂犬病予防をするのにはどうしたらいいか?
狂犬病が発生してもいいと考えている飼主さんはいません。だからこそ、毎年3000円を払い、忙しい中で集団注射会場や動物病院に行って予防接種を受けているのです。問題は現行の狂犬病予防接種のシステムでは飼い主さんを食い物にして利権業界を潤しているだけだということです。